コントラバスは特にその大きさのために繊細な音楽表現はむずかしいが、そのコントラバスで、より音楽的な表現を可能にすることを模索し、従来の奏法にいくつかの不合理な点を見出した。

これを改善し、『野田メトーデ』 を確立、この大きな楽器が楽に、素早く、滑らかに演奏できるようになり、以前に比べると音楽そのものに神経を集中できるようになった。更に、合理的な奏法によって、演奏者が健康を損ねることも避けられると考えている。

ヘルムホルツ波を意識し、音場感(空間意識)を実感すること、脱力など意識面と、フレンチ弓、ガット弦、座奏、松脂という4つのハード面が重要な要素となっている。 『野田メトーデ』 はコントラバス奏法に関することが中心だが、音響メカニスムは他の弦楽器にも共通しているだろう。 『野田メトーデ』 は従来の一般的セオリーとは異質だが、類似した奏法を提唱している音楽家もすでにいる。チェロのゲルハルト・マンテル教授、ヴィクター・セイザー氏、コントラバスのクヌート・ギュトラー氏などだ。

私は、ドイツのコブレンツに工房を構える弦楽器マイスターの木村玄氏の助言と示唆からこのメトーデを考え出した。その後、現東京工業大学学長、伊賀健一博士からは物理学的見地でその正当さを証明された。

技術的な面では上記のような奏法の習熟により演奏者としての能力は高まるが、大切なことはその先、すなわち、音楽そのものの表現であることは論を待たない。そのための音楽理論、音楽史、和声楽などを初めとして、一般教養、生活哲学、美術、文学、歴史、言語なども音楽に重要な要素であることは言うまでもない。